快楽主義の哲学〜澁澤龍彦

P23
快楽は客観的なものであり、幸福は主観的なものである


P25
快楽は瞬間的なものであり、幸福とは持続的なものである


P64
エピクロス「死は、わたしたちにとって何物でもない・・・というのは、善いものも悪いものも、すべて感覚に属するが、死は感覚の欠如だからである。したがって死がわたしたちにとって何物でもないことを正しく認識すれば、その認識は、この可死的な生をかえって楽しいものとしてくれる。というのはその認識が、この生に対して限りない時間をつけ加えるからではなく、不死へのむなしい願いを取り除くからだ」
「私たちが存在する限り死は現に存在せず、死が現に存在するときは、もはや私たちは存在しない」


P108
人間には強い自己保存の欲求、生きていたいという欲求があるわけですが、それよりも更に深いところで死への衝動がはたらいている


P110
愛し合う男女が、彼らを脅かす社会や他人から完全に背を向けて、自分達の世界に閉じこもり、セックスの恍惚の極限としての「小さな死」をそのまま美しく永遠化しようとする―これが情死の意味であります


P119
サドのセックス哲学「男女の性別も、年齢も、社会的身分も、血族関係も、すべて無差別に混淆されるばかりでなく、このように個人の肉体における性器の優位性すら、完全に否定されるのです」