哲学

神話と意味 〜 レヴィ=ストロース

P2 私は以前から現在にいたるまで、自分の個人的アイデンティティの実感をもったことがありません。私というものは、何かが起きる場所のように私自身には思えますが、「私が」どうするとか「私を」こうするとかいうことはありません。私たちの各自が、ものご…

日本のエロティシズム 〜 百川敬仁

P15 おおきな緊張を要する自我の構造化の代償として累積する心的ストレスが、その構造の一時的解体によって解消されるカタルシス的な瞬間への予期こそ、人間の存在論的基礎をなす時間性の根源をなす P19 (ドンファンなどが)次々と相手を探しもとめるのは、未…

エロティシズム 〜 バタイユ

・エロティシズムとは、死におけるまで生を称えることだと言える。 ・生殖は生の不連続性につながっている。だが他方で生殖は存在の連続性を惹き起こしもするのである。つまり生殖は密接に死と結びついている。 ・生の根底には、連続から不連続への変化と、不…

時間は実在するか 〜 入不二基義

「時間は実在するか」(入不二基義 講談社現代新書 2002年)はイギリスの哲学者J・M・E・マクタガートが一九〇八年に書いた論文「時間の非実在性」を解説している。 マクタガートは時間を理解するしかたにはA系列とB系列の二種類があるとする。 そして、…

ウィトゲンシュタイン

P37 論理哲学論考について 「この書物は思考に対して、いやむしろ思考の表現に対して限界を引こうとする。こう言い換えたのは、もし思考に対して限界を引くのだとすれば、このためには我々がこの限界の両側を思考できねばならなくなる(従って思考不可能なこ…

無限論の教室〜野矢茂樹

・「実無限」・・・無限のものがそこにあるのだと考える立場 ・「可能無限」・・・可能性としてのみ考えられる無限。無限が完結した実在として存在するとは考えない ・可能無限の立場では、√2というのは数字ではない、と言います。√2というのは、各桁の数字…

カント

・ドイツ出身の哲学者(1724年4月22日 - 1804年2月12日) ・ドイツ観念論哲学の祖 ・『純粋理性批判』、『実践理性批判』、『判断力批判』が有名 『純粋理性批判』・科学の成立根拠を問うと共に、経験に基づかない「形而上学」を批判する試み ・感性は「直観…

ハイデガー

【ハイデガー入門〜細川亮一】 P23 アリストテレス存在論の基本テーゼは「存在者は多様に語られる、しかし一との関係で(一へ向けて、プロス・ヘン)」 →ハイデガーはその「存在の多様な意義の一性」を時間に求めたP38 「存在と時間」の狙いは「存在は時間か…

時間論 〜 中島義道

・過去中心主義から見た時間論 ・同著者の「時間を哲学する」のほうが分かりやすいが、内容はこちらのほうが深い P30 過去という観念にはすでに現在という観念が含まれている。なぜなら、第一に過去とはそのとき現在であった時なのであり、第二にこの現在に…

時間を哲学する 〜 中島義道

・過去中心主義から見た時間論 ・同著者の「時間論」と内容はほぼ一緒 P44 夢を見ている「あいだ」はそれが夢か現実か判断できない。醒めた後に初めて決まるのです。 P45 認識とは不在のもの(<いま><ここ>にないもの)に対する態度 P85 過去は場所では…

エロティシズム〜Fアルベローニ

・男女の違いを基にしたエロティシズムの考察 ・風俗的な要素が高い。実践的でもある ・どことなく表面的な印象P11 男のエロティシズムがより視覚的、生殖的であるのにたいして、女のそれはより触覚的、筋肉的、聴覚的である P34 エロティシズムはすべてを無…

エロティシズム〜澁澤龍彦

・エロティシズムに関して23のテーマに対する考察 ・澁澤龍彦の世界観に従い、実例が色々と紹介されている ・深くはないが、入門編やインデックスとしては価値があるのでは P38 「愛の自然的条件」・・・顔の魅力とか肉体の美しさとか、声の質だとか、それら…

死とエロティシズム

バタイユ 「人間はただ死においてのみ一切の個別性を超えて大きな連続性の中に解き放たれる。私達は失われた連続性へのノスタルジーを持っており、エロティックな行為の絶頂において、わずかに死による等価物を手に入れることができるのであろう」

快楽主義の哲学〜澁澤龍彦

P23 快楽は客観的なものであり、幸福は主観的なものである P25 快楽は瞬間的なものであり、幸福とは持続的なものである P64 エピクロス「死は、わたしたちにとって何物でもない・・・というのは、善いものも悪いものも、すべて感覚に属するが、死は感覚の欠…

プラトンとアリストテレスの違い

プラトンは理想主義者であり、アリストテレスは現実主義者である、とよく言われます。プラトンはイデアという感覚世界から離在するものを実在と考え、感覚的事物を実在と見なさなかったのに対して、アリストテレスは感覚的事物を実在と考え、感覚世界から離…

アリストテレスの四原因

質料因 ・「それは何からできあがっているか」と問われたときの「何」にあたるもので、「素材」のこと。 ・「ヒュレー」と呼ばれる。 形相因 ・「それは一体何であるか」と問われたときの「何」にあたるもので、ものの「本質」のこと。 起動因 ・「それは何…

ディオティマの説〜「饗宴」プラトンより

愛(エロース)とは欠乏と富裕から生まれ、その両方の性質を備えている。ゆえに不死のものではないが、神的な性質を備え、不死を欲求する。すなわち愛は自身の存在を永遠なものにしようとする欲求である。これは自らに似たものに自らを刻印し、再生産するこ…

言葉と無意識

P73 独自の生を特殊な体験として生きているにもかかわらず、恣意的文節である言語の網に絡み取られ、その結果各人の価値観が等質化・画一化されている P199 関係が<物>を産み出す P206 羞恥は実体ではなく、関係であるが故に時代・場所・男女・年齢層によ…

プラトン

・恒常不変性 多くの美しい感覚的事物は醜いものに成りうるが、 美のイデアは、いつも美であり、それが醜になることはない。 ・単相性 美のイデアは美という同一のあり方をするのみだが、美のイデアを分有するものは、同時にまた大を分有したりしうる以上、…

イデア

・ギリシア語の原意は「見られたもの」であり、プラトンの場合には、それは既に述べたように、「心眼で見られたもの」という意味・多様なものを貫いている一つの普遍的原理・同一を保ち、恒常のあり方をするもの