生物と無生物のあいだ〜福岡伸一

・ウイルスは栄養を摂取することもなく、呼吸することもない。幾何学的な美しさを持っており、結晶化することさえできる
・単なる物質から一線を画している唯一の特徴が自己複製能力を持つところ。


・DNAは二重螺旋の構造を持っており、対構造をしている。
・この構造は自己複製機構を示唆している。ポジとネガの関係。ポジを元にネガが作られ、ネガからポジが作られる。
・DNAにはA・C・G・Tの4文字しかない。AとT、CとGは互いに凹凸関係にある。
・DNAの一方が壊れても、他方を基に修復することが可能。


シュレディンガーの問い。なぜ「原子はそんなに小さいのか?」→「人はそんなに大きいのか?」。生命現象に必要な秩序を守るため(平均的なふるまいから外れる粒子の寄与を小さくするため)。


・ネズミを構成していた身体のタンパク質は、たった3日間の食事由来のアミノ酸によってがらりと置き換えられる。
・生物が生きている限り、栄養学的要求とは無関係に、生体高分子も低分子代謝物質もともに変化して止まない。生命とは代謝の持続的変化であり、この変化こそが生命の真の姿である
・崩壊する構成成分をあえて先回りして分解し、このような乱雑さが蓄積する速度よりも早く、常に再構築を行うことができれば、結果的にその仕組みは増大するエントロピーを系の外部に捨てていることになる


・生物には時間がある。その内部には常に不可逆的な時間の流れがあり、その流れに沿って折りたたまれ、一度折りたたまれたら二度と解くことのできないものとして生物はある。