キャズム 〜 ジェフリー・ムーア


イノベーター
・新しいものに強い関心を示す
・「事実」を重視する
・真っ先に手に入れたがる
・低価格で入手しようとする


アーリー・アダプター
・別名、ビジョナリー
・改善ではなく、ブレークスルーを求める
・価格に対して寛容
・外交的
・プロジェクト重視
・時間が限られている
・すべての期待に応えることは不可能→期待を管理する必要がある


アーリー・マジョリティー
・別名、実利主義者
・先行事例と手厚いサポートを必要とする
・他社の導入事例を確認したがる
・ベンダーを競争させたがる
・ハイテク製品の導入に抵抗を感じない


レイト・マジョリティー
・別名、保守派
業界標準が確立されるのを待ち続ける
・実績のある大企業から購入したがる


ラガード
・別名懐疑派
・何やっても見向きもしない人

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キャズム
アーリーアダプターとアーリーマジョリティーの間にある
・先行事例と手厚いサポートを必要とする顧客を、有効な先行事例と強力なサポートなしで攻略しなければならない
・この時期は、すべてのリソースを集中させる必要がある
・販売重視の戦略を立てるのは致命的である
・支配できそうなニッチ市場をターゲットとする。「小さな池で大きな魚になる」
・顧客にホールプロダクトを提供する(一連の製品、サービス)

2052 今後40年のグローバル予測 〜 ヨルゲン・ランダース

個人的にはちょっと偏っている印象

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■5つの主要な問題

・資本主義
・経済成長
・民主主義
・世代間の平等
・地球の気候と人間の関係




■40年後の世界、主なポイント


・都市化が進み、出生率が急激に低下する中で、世界の人口は予想より早く2040年直後にピークとなり(81億人)、その後は減少する。2052年には2012年の水準になる。

・経済の成熟、社会不安の高まり、異常気象によるダメージなどから、生産性の伸びも鈍化する

・人口増加の鈍化と生産性向上の鈍化から、世界のGDPは予想より低い成長となる。それでも2050年には現状の2.2倍になる

・一人あたりGDPは2050年まで増えていき、21世紀後半で頭打ちとなる

・資源枯渇、汚染、気候変動、生態系の損失、不公平といった問題を解決するために、GDPのより多くの部分を投資に回す必要が生じる。このため世界の消費は、2045年をピークに減少する

・食糧生産は2040年に現在より60%増加したところで頭打ちになる

・エネルギー消費量は2042年にピークに達し、暫く横ばいに

・太陽熱・太陽光は2052年には全エネルギー生産の37%を占める再生可能エネルギーの主力選手となる。それ以外は石炭23%、ガス22%、石油15%、原子力2%

・CO2排出量は2030年にピークをむかえ、2052年には現在の水準にもどる

・資源と気候の問題は、2052年までには壊滅的なものにはならない。しかし21世紀半ばごろには歯止めの利かない気候変動に大いに苦しむことになる

・資本主義と民主主義は本来短期志向であり、ゆえに長期的な幸せを築くための合意がなかなか得られず、手遅れになる

・以上の影響は、米国、米国を除くOECD加盟国(EU、日本、カナダ、そのほか大半の先進国)、中国、BRISE(ブラジル、ロシア、インド、南アフリカ、そのほか新興大国10ヶ国)、残りの地域(所得面で最下層の21億人)で大きく異なる

・予想外の歯医者は現在の経済大国、なかでもアメリカ(次世代で一人当たりの消費が停滞する)。勝者は中国。BRISEはまずまずの発展を見せるが、残りの地域は貧しさから抜け出せない。

実験心理学が教える人を動かすテクノロジ

説得の方向性として3つ考えられる

・ツール(能力の向上)
・メディア(体験の提供)
・ソーシャル・アクター(関係構築)


●ツールとして

・手順の省略
対コスト効果を向上させることで、その行動をユーザが自ら進んで行うように働きかける


・トンネリング
ユーザを一連の手順や体験に導きながら、一気に説得していく


・カスタマイズの原理
使用者のニーズ・関心・性格・状況などの要素の関連が深まるにつれ、コンピューター製品が提供する情報の説得力は高くなる


・提案の原理
コンピューターテクノロジが最適なタイミングでアイデアや情報を提供すると、一層効果的に人を説得することができる


・自己監視の原理
ユーザの状態や進捗を知らせることで、あらかじめ設定した目標や結果を達成しやすくする


・監視の原理
他人から観察されることで、人は行動を変える


・条件付けの原理
複雑な動作の形成やある動作を習慣にするといったプロセスを助けるために制の強化の仕組みを実現する


●メディアとして

・因果関係を示すシナリオののシミュレーション
原因と結果の間の関係をシミュレーションによりその場で確認できるため、態度や行動を変えるように説得できる


・環境のシミュレーション(バーチャル)
行動をリハーサルできるような動機付けシミュレーション環境を提供することで、現実世界における態度や行動を変えさせることができる


・オブジェクトのシミュレーション(現実世界)
日常生活でつ開けるように設計された携帯型のシミュレーションテクノロジにより、特定の行動の影響を鮮明に理解することができ、態度を変えようという気になる


●ソーシャルアクターとして
・コンピューターを社交的な存在として活用する


・身体的な特徴
・心理
・言語
・社会・対話行動
・社会的役割

神話と意味 〜 レヴィ=ストロース

P2
私は以前から現在にいたるまで、自分の個人的アイデンティティの実感をもったことがありません。私というものは、何かが起きる場所のように私自身には思えますが、「私が」どうするとか「私を」こうするとかいうことはありません。私たちの各自が、ものごとの起こる交叉点のようなものです。交叉点とはまったく受身の性質のもので、何かがそこに起こるだけです。ほかの所では別のことが起こりますが、それも同じように有効です。選択はできません。まったく偶然の問題です


P15
神話の物語はきまぐれで無意味で不条理です。とにかく見たところはそうです。にも関わらず神話の物語は、世界的に反復して現れるように思われます。ある地点の人が頭の中でこしらえ上げた『奇想天外』の作り話ならば、一つしかないのが当たり前―つまり、まったく別の場所に同じ作り話が見出されるのはおかしいはずです。私の問題は、この外見上の無秩序の背後に、ある種の秩序があるのではないかと探ってみること、ただそれだけでした。


P16
人類の知的業績を見わたすと、世界中どこでも、記録に残る限り、その共通点はきまってなんらかの秩序を導入することです。もしこれが人間の心には秩序への基本的欲求があることを表しているとすれば、結局のところ、人間の心は宇宙の一部にすぎないのですから、その欲求が存在するのは、多分、宇宙に何か秩序があり、宇宙が混沌ではないからでありましょう。


P24
神話が人間に与える重要なものがあります。自分が宇宙を理解できるという幻想、宇宙を理解しているという幻想です。


P27
進歩は相違を通してのみなされてきました。現在私たちを脅かしているものは、オーヴァーコミュニケーションとでも呼びうるものでしょう。つまり世界のある一点にいて、世界の他の部分で何が行われているかをすべて正確に知り得るようになる傾向です。ある文化が真に個性的であり、何かを産み出すためには、その文化とその構成員とが事故の独自性に確信を抱き、更にある程度までは、他の文化に対して優越感さえ抱かねばなりません。(略)私たちはいま、単なる消費者になり、世界のどの地点のどの文化から得られるどんなものでも消化できるけれども、独自性をすっかり失なってしまうのではないかという展望に脅かされています。


P27
地球上いたるところ、ただ一つの文化、一つの文明だけになる時代を私たちはいまや容易に想像することができます。でも私は実際にそうなるとは信じません。対立する傾向――一方は均質化へ、他方は新たな個別化へ、という傾向がつねに作用するからです。文明が均一になればなるほど、分離思想とする内的な傾向がはっきりしてきます。また、あるレヴェルで得られるものが、ただちに他のレヴェルで失われます。(略)人類がほんとになんらかの内的多様性なしに生きうるとは思えないのです。


P31
論理的観点からは、ガンギエイのような動物と、この神話が解き明かそうと試みている種類の問題とのあいだには類似性があるのです。この物語は科学的観点からは真実ではありません。しかし私たちはこの神話がいま述べた性質をもっていることは理解できるようになりました。それは、科学の世界にサイバネティックスやコンピューターが出現し、二項操作なるものを私たちに理解させてくれるようになったからです。二項操作は、ずいぶん異なった形ではあるけれども、すでに神話的な思考によって物や動物を使って行なわれていたのでした。ですから、神話と科学のあいだには、ほんとうは断絶などありません。科学的思考が現段階に達してはじめて、私たちはこの神話に何がこめられているのかを理解できるようになったのです。


P62
小説や新聞記事を読むように、一行一行、左から右へと読もうとしたのでは、神話は理解ができないと気づかねばなりません。神話は一つの全体的まとまりとして把握しなければならないのです。また神話の基本的な意味は、ひとつづきに連なるできごとによって表わされているのではなくて、いわば〃できごとの束〃によって表わされていること、しかもそれらのできごとは物語の別々の時期に起こったりもすることをはっきりきせる必要があります。したがって神話は、多かれ少なかれ、オーケストラの総譜と同じような読み方をしなければなりません。つまり一段一段ではなく、頁全体を把握することが必要です。頁の上の第一段に書かれていることが、それより下の第一一段、第三段などに書かれていることの一部分だと考えてはじめて意味をもちうるのだ、ということを理解しなければなりません。つまり、左から右へ読むだけではなくて、同時に垂直に、上から下にも読まねばならないのです。各頁が一つのまとまりであることを理解する必要があります。段を重ねて書いてあるオーケストラの総譜のように神話を扱ってはじめて、それを一つのまとまりとして理解でき、神話の意味を引き出すことができます。


P68
私たちが音楽を聞くとき、結局のところそれは、はじめから終わりまでつづき、時間のなかに展開してゆく何かを聞いているのです。交響曲を聞いてごらんなさい。交響曲にははじめとまんなかと終わりがあります。しかし、それにもかかわらず、私は各瞬間に、前に聞いたものといま聞いたものをまとめ合わせ、音楽の全体性を意識する状態を維持しています。もしそれができないとすれば、交響曲はまったく理解できませんし、そこから音楽の喜びなどは少しも得られないでしょう。またたとえば「主題と変奏」という音楽形式を考えてみても、最初に聞いた主題(テーマ)を心にとどめつつ変奏のそれぞれを聞くことによって、はじめてその曲を鑑賞することができるのです。また変奏のそれぞれが独自の趣きをもつのは、みなさんが無意識にそれを、先立つ変奏に重ねてみるからです。


P69
バッハの時代に形を整えたフーガ形式は、ある種の神話の進み方にそっくりです。一方のグループが他方から逃げ出そうとする様子は遁走曲(フーガ)そのものです。交唱が物語を通じて続き、ついには両グループがほとんど一つに混ざり合います。この二原理の統合によって、葛藤の最終的解決がもたらされるのです。そして統合という神話での解決の構造は音楽において和音が解決し曲を締めくくるのとよく似ています。そして、このフーガ形式のような音楽の形式は、音楽が本当に作り出したのではなく、実は無意識のうちに神話の構造から借りたものなのです。


P73
言語では音素の組み合わせが語に、語の組み合わせが文になるという三つのはっきりしたレベルがあるのに対し、音楽では音素としての個々の音があり、語に相当するレベルがなく、直接に文に相当するフレーズ(楽句)に移ります。神話には音素はなく、最も下位の単位は語です。つまり、これらの三つを比較すると、音楽には語に相当するものがなく、神話には音素に相当するものがなく、どちらの場合もレベルが一つずつ欠けていることになります。このように音楽も神話もともに言語から発するものでありながら、それぞれが別々の方向に分かれて生長しているのだということが分かります。また、音楽は音の面を強調しますが、それがもともと言語に根ざしたものであること、それに対して神話は意味の面を強調しますが、これもまた言語に根ざしたものであるということも明らかになります。

芸術と脳科学の対話 〜 バルテュス+セミール・ゼキ

P8
バルテュス「(私は)芸術家ではありませんね、むしろ職人であると自分では思っています。
わたしの営みは、制作することに、かつて存在したが今ではもう誰にも分からないものを再び作り出すことにあります。わたしは自分を表現しようとしているのではなく、世界を表現しようとしているのです。」


P9
バルテュス「視覚はわたしたちを本当に原初的な何かへと送り返してくれるのです。」


P10
バルテュス「(形に執着するのは)事物が何を意味しているのか聞き取るため、事物の意味に達するためです。」


P15
バルテュス「わたしの絵は祈りのようなものです、わたしは信心深いですから、絵画とは一種の祈りなのです。」


P20
バルテュス「わたしは何かを発見しようとしているのですが……たいていの場合、途中で断念してしまいます。自分が見たかったもの、発見したかったものが得られないからです。ある瞬間に自分の行為のイメージを描き出しても、少し後で確認のために引き返してみると、そこには何も無いのです。」


P22
バルテュス「抽象芸術は芸術の終焉です。」


P23
バルテュス「絵画には限界があります。最も大きな過ちとは、絵では実現できないもののために絵画を利用しようとすることです。」


P27
セミール「科学者は最終的には大脳生理学を通して芸術作品を説明することができるに違いないでしょう。
脳は自らが受けとる常に変化し続ける情報を通して、対象や表面の本質的で変わることのない特性をとらえようとしているということです。芸術家の仕事は、実にこの戦略の延長にあるものです。」


P40
バルテュス「(芸術は単に人間を幸福にする以上のより大きな機能を有しているはずだと、あなたはおっしゃるわけですね?)
そうです。芸術は精神に対して有益であり、善のために役立つものであるに違いありません。」


P52
バルテュス「子供は全く異なった仕方で世界を見て、事物を発見し、そして同時に事物を破壊することもできるのです。」


P58
バルテュス「真の画家は職人、熟練工でなくてはなりません。そして巨匠の職人は天才にとても近い人のことだとおもいます。なぜなら、天才はどんどん逃げ去っていくものですから。職人というのはまさに、自分が作るものがきちんと作られているかどうか気を配っている人間のことです。」


P63
バルテュス「何かを制作しようという気になることは、それを作る理由を発見することでもあります。今日わたしたちは、新しい世界、すべてが機械によって作られている世界にいます。しかし実際のところ、あなたはそこにいて、何かを見、それが何かを理解しようとしているのです。画家であるというのはそのようなことなのです。脳に関する研究を行なうのも同様のことではないでしょうか。」


P64
セミール「脳は絶え間無く受けとる本質的ではない情報をすべて排除し、普遍の特性についての認識を得るために本質的なことだけを記憶に留めておくことで、世界の認識へといたるのです。脳が対象や事物の外観を、どのような条件でそれを見ても同定できるのは、この働きによってなのです。わたしにとって芸術とは、ある意味で子の本質的なものの探究、という脳の活動の延長にあるものです。」


P107
バルテュス「絵画ですべてを表現することはできません。そんなことは絵画の目的ではないのです。」


P134
バルテュス「数世紀の間、わたしたちは退屈することなく同じことを繰り返すことができましたが、今ではすべてのことに退屈してしまうのです!」


P145
バルテュス「あらゆる発達は死に至るのです。究極の発達、それは死なのです。」


P155
セミール「視覚脳はこの知(目が教えてくれる素材感、対象と接触した場合に引き起こされる感覚)を習得することができます。わたしはこの生物学的定義を芸術にも押し広げ、芸術、絵画も同様にして生まれるのだといいたいのです。それは世界に対する認識を得るための一つの手段なのです。」


P161
バルテュス「(芸術家はどの程度まで時代の流れや社会の変動に影響をうけるか?)十六世紀の混乱の時期に描かれた絵画を見ても、その種の影響はまったく見受けられません。その時代の画家たちにはどうでも良いことだったのです。彼らは影響を受けてはいませんでした。」


P168
バルテュス「わたしには自分の時代を映し出そうとなどという欲求は少しもありません。現代はあまりに醜く、ひどく馬鹿げたものです。わたしはこの時代に属していません。それを拒否しているのです。」

オキシトシン

オキシトシン (Oxytocin, OXT, OT) は視床下部の室傍核と視索上核の神経分泌細胞で合成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンであり、9個のアミノ酸からなるペプチドホルモンである (Cys-Tyr-Ile-Gln-Asn-Cys-Pro-Leu-Gly)。

・ヒトにおいても対人関係や社会性にも変化を与え、「他者への信頼」「共感性」「寛大さ」感が増す、等という研究報告がなされている

・社会性・対人関係に作用する可能性があることから、オキシトシン自閉症の治療薬になるのではないか、と期待されている

・だだしエスノセントリック(自民族中心主義)な傾向が強まるとの研究結果も

不気味の谷

ロボットや他の非人間的対象に対する、人間の感情的反応に関するロボット工学上の概念。

人間のロボットに対する感情的反応について、ロボットがその外観や動作において、より人間らしく作られるようになるにつれ、より好感的、共感的になっていくが、ある時点で突然強い嫌悪感に変わると予想した。人間の外観や動作と見分けがつかなくなると再びより強い好感に転じ、人間と同じような親近感を覚えるようになると考えた。